万葉の花々(16)~しの(メダケ・細竹・小竹)~

池の辺の 小槻(をつき)が下(もと)の 篠(しの)な刈りそね

それをだに 君が形見に 見つつ偲(しの)はむ

      (巻七、一二七六)

現代語訳:「池のほとりの槻(つき:けやき)の木の下の篠は刈らないでください。せめてそれだけでもあなたの形見として、見て偲びましょう。」

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「篠」は「しなう」「しなやかになびく」という意味で、矢竹(やだけ)・女竹(めだけ)・根笹(ねざさ)などの小さい竹や笹類を指す。

「矢竹」や「女竹」はタケと名が付くが、竹の皮が長い間「稈(かん:茎)についているので、植物学上は笹に分類されている。

女竹は若竹の頃、竹の皮がひときわ白い。また、池や川端によく育つので「川竹(かわたけ)」とも呼ばれる。

*奈良時代には、中国から伝来した楽器、「笙(しょう)」や「ひちりき」などが女竹で作られた。現在では、良い材料を得ることが困難な上に、それを作る人さえも少なくなっている。

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〔参考1〕

メダケ(雌竹)は関東地方以西の本州、四国、九州、琉球まで広く分布する多年生常緑笹の一種。主に川岸や海辺の丘陵などに群生する。の高さは2〜8mほど、直径1〜3cm程度で笹としては大きい部類だが、その姿はすらっと細く伸び女性を思わせる。別名、シノタケ(篠竹)オンナダケ、メダケ(女竹)、ニガタケ(苦竹)、カワタケ(川竹)、ナヨタケ。

筍皮は緑暗色のち白黄色で、緑色の無毛滑らかな円筒形で中空の稈のほぼ中ほどまでの長さがあり、落ちずにいつまでも稈に残る。節間は約15cm。節は低い。稈は柔らかく通常無毛、またねばり強いので篠笛や煙管、筆軸、かごなどの竹細工に向く。

ニガタケという別名は5月頃に出る筍が苦いことに由来する。

花は5月頃(毎年ではない)、緑淡色で、茎(稈)先と枝先に束生密生。時々開花し、後に枯れる、花穂は古い皮をつけていることが多い。

農業資材や建築・漁業などに利用されていたため農家の周辺などに植栽されている。現在は利用されることが少なくなり、野生状態となっている。

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〔参考2〕

・関東以西の本州、四国及び九州に分布するイネ科メダケ属の多年生常緑笹。シノダケと呼ばれるものの一つで、マダケなどよりも細くて柔らかな様子からメダケと名付けられたが、ササの仲間。漢字表記は女竹、雌竹、山竹など。

・湿気を好み、河川敷や海辺の丘陵などで群落を作る。細くて丈夫な棹を日常の作業に使うため民家付近に植えていたものが野生化しているケースが多く、自然の豊富な場所にはあまり見られない。

・一般家庭でメダケを庭木に使う例は少ないが、京都御所の清涼殿前には皇太子の無病息災を祈念し、クレタケと共に「漢竹(カワタケ)」として代々植え継がれている。

・プラスチックが普及する前、メダケの竿はザル、笛、ウチワなどの民芸品や細工物、野菜作りの支柱や釣竿、農業や漁業の資材に多用した。建築で用いる小舞竹(土壁の内部の骨組)や、さらにはチクワの芯にも使ったという。

ソフィア

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