花と逸話~太田道灌「ヤマブキ」

室町時代のお話です。太田道灌という武将がおりました。
道灌が狩りの最中に突然のにわか雨に遭い、農家で蓑を借りようと立ち寄りました。

その時、娘が出てきて一輪の山吹の花を差し出しました。道灌は、蓑を借りようとしたのに花を出され内心腹立たしく思いその場を立ち去りました。

後でこの話を家臣にしたところ、それは『後拾遺和歌集』の
「七重八重花は咲けども山吹の実の一つだになきぞ悲しき」
という兼明親王(かねあきらしんのう)の歌に掛けて、間(やまあい)の茅葺き(かやぶき)の家であり貧しく(実の)ひとつ持ち合わせがないことを奥ゆかしく答えたのだと教わりました。

古歌を知らなかった事を恥じて、それ以後、道灌は歌道に励み、やがて歌人としても名高くなったといいます。

豊島区高田の神田川に架かる面影橋の近くにも山吹の里の碑があり、1kmほど東へ行った新宿区内には山吹町の地名があり、伝説の地に比定されています。

また、埼玉県越生町にも「山吹の里」と称する場所が存在し、この地が伝説の地であるという説もあります。

ただしいずれも真偽は不明。また、落語にこの故事をもとにした『道灌』という演目があります。

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