花と神話~ポプラ2~ゼウスのスプーン

あるときゼウスはスプーンをなくして困っていました。あちこち探したあと、林の中に落ちたか、誰かが隠したかどちらかだということがわかったので、使者のガニュメデスに命じて森の中を探させることにしました。

まず、オークのところへ行って、
「ゼウス様のスプーンをしらないか。」
と尋ねると、オークは激怒して銀色の葉を震わせながら、
「ゼウスのスプーンのことなど何も知らない。私は何千という数のスプーンを持っている。私は木の王であって、泥棒ではない。」
と言いました。ガニュメデスは平謝りに謝って、今度はカバノキのところに出かけていきました。カバノキも、
「私はたくさんの銀のスプーンで覆われている。これ以上スプーンを盗む必要などどこにあるのだ。」
と大声でどなりました。このときも、ガニュメデスはただ謝るばかりでした。

ブナは針だらけのイガを彼の頭の上に落としました。ニレは枝で頭を叩きました。モミは怒りに身を震わせて実を落としました。

こうして次々にひどい目に会いながら、最後にポプラのところへやってきました。ポプラも、
「どうして私がゼウスのスプーンを持っているというのだ。私は何も画してなどいない。」
と言いながら身体をゆすって見せました。何も隠していないことを示そうとしたのです。

その当時、ポプラは今ほど大きくなく、ヤナギの木のように枝を下に垂らしていました。しかし、隠し方がまずかったのでしょう、枝を上に上げるとパラパラとスプーンが落ちてきました。ポプラは死者のように青ざめました。ゼウスの怒りを思うと恐怖のため葉裏は真っ白になってしまいました。ガニュメデスは落ちて来たスプーンを拾い集めると、不安におののいているポプラを残し、オリュンポスに戻っていきました。

盗みを犯した上に、嘘までついたポプラをゼウスがそのままにしておくはずはありません。ゼウスは、
「罰としてポプラは永久に枝を持ち上げたままにしておくのだ。これからは何も隠せなくだろう。」
と言いました。この時以来、ポプラの葉裏は真っ白くなり、枝は高々と空に向かって上を向くようになったそうです。

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