花と神話~ヤドリギ

ヤドリキは冬になっても枯れないし、根を持たない植物ですから昔から不思議な力を持つと思われていました。この物語もその神秘的な力から出来上がったものだと思われます。

クレタ島の王ミノスには一人の息子がおり、名前をグラコウスといいました。グラコウスがまだ小さかった頃、庭で一人でコマを回して遊んでいた時のこと、足を滑らせて中庭に埋めてあった密壺の中に落ちてしまいました。家中の人があちこち探し回りましたがどこにも彼を見つけられませんでした。

ミノス王は占い師ポリュエイドスを連れてきて息子の居場所を占わせました。ポリュエイドスは、「中庭の密壺の中にいます」と見事にその居場所を当てたのですが、時すでに遅しでした。家人がそこに行ったときには子供はとうに死んでいあたのです。

ポリュエイドスは、今度は死んだ息子を生き返らせるという仕事を命じられました。そして死んだ子供と一緒に墓の中に閉じ込められてしまったのです。墓の中に入れられてしまったポリュエイドスにはなすすべがありませんでした。途方に暮れているポリュエイドスの目の前に一匹の蛇が現れて、グラコウスめがけて飛びかかってきました。慌てて彼がその蛇を殺すと、また一匹の蛇が現れて仲間が死んでいるのを見るとどこかへ消えていきました。

暫くするとその蛇は草を運んできました。そしてその草で死んだ蛇の身体を擦り始めたのです。息を凝らして見つめているポリュエイドスの目の前で死んだはずの蛇が生き返りました。そして二匹の蛇はどこかへ消えていきました。

ポリュエイドスが、グラコウスを生き返らせるにはあの草があればよいと考えたのはもちろんです。早速探し出すと、蛇がしていたようにグラコウスの身体にその草をこすりつけました。そうして見事に子供を生き返らせることができたのでした。

この草が何であるかについては、いろいろ議論があります。ギョウジャニンニクだという人もいますが、ギリシャ人はヤドリギに深い信仰心を持っていることからヤドリギであるという説が有力です。

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