万葉の花々(22)~はちす(ハス:蓮)~

ひさかたの 雨も降らぬか 蓮葉(はちすば)に

溜(た)まれる水の 玉に似たる見む

     巻十六~三八三七

現代語訳:「雨でも降らないかなあ、蓮の葉に溜まった水が玉のようにきらめくのを見たいからなあ」と、酒宴の席で即興的に歌われたもの。

*「蓮(はちす)」は、果実の入った花托(かたく)の姿が蜂の巣に似ているので、“蜂巣(はちす)”と呼ばれ、それが訛って「蓮」になった。

*蓮は原産地がインドといわれ、インドでは国花となっている。祭礼や結婚式など、めでたい時に蓮の花を飾って祝うそうである。

開花は夜明け前後で、昼過ぎにはもう閉じてしまう。この開閉は、花びらが散るまでの3~4日間繰り返される。

*蓮が日本人の心に深く染み込んでいるのは、何といっても仏教と深い関わりがあるからでしょう。

仏様は総じて蓮台の上に立つか、座るかのお姿である。また、蓮の花を手に持ち、優しく微笑みかけるお姿には、思わず合掌してしまう。「泥中の蓮(はちす)」という言葉がある。これは煩悩の汚泥の中から菩提の清浄な花が咲くという意味である。

*蓮根や種子は食用にされる。また、蓮の全ての部分を薬に使う。

種子は滋養と強壮作用、蓮根には血を浄化する作用などがある。葉は万葉時代、食物を盛るのに使った。

*唐招提寺(とうしょうだいじ:奈良市)は、創建当時の姿を今にとどめている。境内では鑑真和上が伝えたといわれる「唐招提寺蓮」や2~3千年前の蓮の実が開花したことで有名な「大賀ハス」、そして中国東北地方原産の「中国古代蓮」など、世界の珍しい蓮50数種が丹精込めて育てられている。

参考:『やまと花万葉』(2010/04/28:東方出版)

ソフィア

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