有用植物利用法(23)~ウマノスズクサ(ジャコウアゲハのために)~

ウマノスズクサの花
いたるところに生えるつる性の多年草。街中にも稀ではなく、道ばたの植え込みやフェンスに絡まるように生育したりする姿をよく見かけます。ただし全国的に見ると減少傾向にあるようで、都道府県版のレッドリストにその名前を見ることがあります。全体に思わず顔をしかめたくなるような強い悪臭があり、また有毒で食べられません。夏から秋にかけて、葉わきにラッパをねじったようなかたちの花が次々と咲きます。花にはいわゆる小ハエの類がよく集まってきます。果実はぶら下がるようにつき、その姿がまるで馬の首につける鈴のように見えることから「馬の鈴草」の名前があります。しかし結実率がきわめて低く、めったに果実は見られません。

毒を活用するアゲハ

ウマノスズクサは有毒で臭いもきつく、昆虫には不人気です。それを好んで食べるのがジャコウアゲハの幼虫です。ジャコウアゲハの幼虫は葉を食べながら体内にその毒を溜めこみ、これで鳥などの天敵から身を守っています。鳥はジャコウアゲハが毒持ちなのを学習するため、手を出しません。そこで、ジャコウアゲハのまねをして、無毒なのに毒持ちのフリをする昆虫(アゲハモドキなど)もいます。

(写真はジャコウアゲハの産卵:宮川直遠氏撮影)

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(以下は「ハイム蝶百科図鑑」の投稿文からの引用です)

我が家の鉢植えのウマノスズクサも殆ど軸だけになり、中野島近くの多摩川土手でも殆どなくなった。今日は雨も上がったので宿河原まで電車でエサ採りに行った。飼育中の幼虫はまだ10匹以上いるので、まだまだエサは必要なのだ。しかし、行ってみると、またしても恐れていたことが起きていた、土手の草は昨日一昨日くらいにきれいさっぱり刈り取られていたのだ!これで今年2回目である。なぜかちょうどエサを大量に喰う頃に草刈りされる。何というタイミングの悪さよ。

しばらくその場にいると、ウマノスズクサを探して何頭かのジャコウアゲハ(オスもメスも)があたりを恨めしそうに彷徨っている。こちらも同様恨めしい。そこにカメラを持った愛好家と思われる人が現れ、彼もまた刈り取られた土手を眺めてがっかりした様子で、早々に去っていった。

筆者はもう一度土手のわずかな刈り残しを探してほんの少しだけ採ってきた。それがこの写真だが、こんなものはすぐに食い尽くされるだろう。これ以上エサがないと共食いを始めるか、餓死することになりそうだ。去年の今頃にはエサは十分あり、そのお陰で越冬蛹もたくさんできたが、これでは今年は少なそうだ。9月末から10月初めが山場になるが、そこまでたどり着けるのはどれくらいだろう。
少なからず、飼育の責任を感じている。(写真・文:Henk)

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(以下は投稿文に対するコメントです。)

哀れ!心が痛みます。以前にもウマノスズクサが少なくなっているとの記事に、少しネットで調べて見ました。
地区全体、又活動組織を作りウマノスズクサを栽培しているところなど、ジャコウアゲハの保全活動は以外に多いのを知りました。
この草は根が深いので土手などで刈り取られてもすぐ新芽が伸びてくることも。でも伸びるまで蝶の食料がないと、蝶は生きて行けません。
それで、下記の記事を見つけましたので、途中までですが転載いたしました。
(多摩川河川事務所の方!どうかご覧下さい。)

ソフィア
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ジャコウアゲハ及び食草ウマノスズクサを保全するための堤防除草方法の検討

高橋繁人1・吉田俊康1・淺野保夫2・稲川貢2
1信濃川河川事務所河川環境課 (〒940-0098 新潟県長岡市信濃1-5-30)
2前信濃川河川事務所河川環境課 (〒940-0098 新潟県長岡市信濃1-5-30)
信濃川河川敷に生息するジャコウアゲハを保護するため.食草ウマノスズクサの生育を保全で
きる除草方法を検討した.現地の継続的な観察により,信濃川(長岡付近)ではジャコウアゲハは
年3回発生することがわかった.越冬蛹がほぼ同時に羽化する春季の除草は影響が大きいため,春
季にはウマノスズクサの生育範囲を分割して除草することが有効であること,除草方法の違いは
ウマノスズクサ自体の生育に大きな影響を与えないが,草高を高く刈り残す方法はウマノスズク
サが他の植物に負けてしまい保全には有効でないことなどが明らかとなった.
キーワード ジャコウアゲハ,ウマノスズクサ,堤防除草,自然環境保全
1. はじめに
ジャコウアゲハ(アゲハチョウ科)(図-1)は草原性のチョウ類であり,絶滅危惧種ではないが1980年代には著しく個体数が減少したことから各地で保全活動が行われている.
信濃川河川事務所管内では1990年代後半に長岡市水道町と同市青島町の2地区において,地元住民が実施していた保全活動と連携して同地区地先の堤防にジャコウアゲハの保全広報看板を設置するとともに,食草であるウマノスズクサ(図-2)に配慮した除草を行った.
堤防除草の方法は,一般的に乗用またはリモコン式の除草機を利用するが,保全地区においては重機による踏みつけを避けるため肩掛け式の除草機の使用や,ジャコウアゲハの幼虫が食べられる葉を残すために草丈を高く刈り残すなどの対策が取られていた.
しかし,近年は良好に推移している青島地先と比較して水道町地先においてはウマノスズクサの生育量が減少し,ジャコウアゲハの生息数も減少してきていると住民から指摘された。このため,更にジャコウアゲハにやさしい除草方法などの保全対策を検討することとした.~続く

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返信

  1.  Henk より:

    Sophiaさん
    コメント有難うございます。
    堤防の除草については、皆さんいろいろな意見がおありのことでしょう。周辺住民の方々は、草ボウボウの手入れされない土手は見苦しいばかりか害虫の発生等にもつながり、すっきりして欲しいと思います。また、国土交通省の堤防を管理している立場からは、草を刈る大事な目的は、堤防の傷みなど不具合を「目視」できるようにすることだと説明を受けたことがあります。ただ、草を刈っただけで目視で堤防の管理をするのはあまりにも安直な印象を受けましたが(失礼)、専門家でない私がとやかく言えません。
    しかし、信濃川河川事務所のはからいは、チョウを愛する者にとっては、とても粋で、科学的な計らいだと感心しました。できれば多摩川もそうあってほしいものです。
    いずれにせよ、今現在の飼育中の幼虫が餓死することを何とか防ごうと、今日はこれから心当たりある所に、エサを探しに行く予定です。

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