有用植物利用法(59)~牡丹(ぼたん)2~

*牡丹に関する文学・美術・絵画・食べ物

 

1、中国文学

中国文学では盛唐以後、詩歌に盛んに謳われるようになった。

  • 李白
    「清平調詞」其の二:「一枝濃豔露凝香、雲雨巫山枉斷腸。借問漢宮誰得似、可憐飛燕倚新妝」
    楊貴妃の美しさを牡丹になぞらえた。
  • 白居易(白樂天)
    「牡丹芳」:「花開花落二十日、一城之人皆若狂」(花開き花落つ二十日、一城の人皆狂ふが若し)
    「長恨歌」でも楊貴妃を牡丹・梨花・柳に例えた。
  • 『牡丹燈記』(怪異小説集『剪灯新話』の一編。日本の怪談『牡丹灯籠』や歌舞伎『怪異牡丹燈籠』の原案)

2、日本文学

  • 日本では8世紀には栽培されていたようであるが、文学に登場したのは『枕草子』が最初である(「殿などのおわしまさで後」の条)。
  • 夏、初夏の季語。そのほか牡丹の芽は春、初春の季語、狐の牡丹は晩春、牡丹焚火は初冬、冬牡丹、寒牡丹、冬の季語。
  • 「人しれず 思ふこころは ふかみぐさ 花咲きてこそ 色に出でけれ」(賀茂重保 『千載集』)
  • 「形見とて みれば嘆きの ふかみ草 なに中々の にほひなるらむ」(藤原重家 『新古今集』)
  • 「咲きしより 散り果つるまで 見しほどの 花のもとにて 二十日へりけり」(関白前太政大臣 『詞花和歌集』)
  • 『蕪村発句集』与謝蕪村は関西出身の俳人で、牡丹の句を多く残した。
    「牡丹散(ちり)て 打かさなりぬ 二三片」
    「閻王(えんおう)の 口や牡丹を 吐かんとす」
    「ちりて後 おもかげにたつ ぼたん哉」
  • 曲亭馬琴:「南総里見八犬伝」で牡丹が獅子の力を押さえ込む霊力があることに着目して、牡丹紋を八犬士の象徴とした。
  • 「冬牡丹 千鳥よ雪の ほととぎす」(松尾芭蕉)
  • 「戻りては 灯で見る庵の ぼたんかな」(加賀千代女)
  • 「福の神 やどらせ給ふ ぼたん哉」(小林一茶)
  • 「一つ散りて 後に花なし 冬牡丹」(正岡子規)
  • 高浜虚子
    「一輪の 牡丹かがやく 病間かな」
    「そのあたり ほのとぬくしや 寒ぼたん」
    「鎌倉の 古き土より 牡丹の芽」
    「白牡丹と いふといへども 紅ほのか」
  • 「白牡丹 李白が 顔に崩れけり」(夏目漱石)
  • 「牡丹花は 咲き定まりて 静かなり 花の占めたる 位置のたしかさ」(木下利玄)

3、絵画

    牡丹に蝶(葛飾北斎・画)

 

多くの文人墨客が牡丹を愛し、描いてきた。

  • 狩野山楽「牡丹図」(安土桃山時代、大覚寺宸殿・牡丹の間の襖絵18面、重要文化財
  • 葛飾北斎「牡丹に蝶」
  • 速水御舟「牡丹」、「墨牡丹」

4、名前に牡丹の付く食べ物

  • 「牡丹餅」(ぼたもち)ボタンの咲く時期の彼岸(春の彼岸)に供えられる、または、食される菓子。同じ餅が秋の彼岸には「おはぎ」と名称が変わる。
  • 「司牡丹」(つかさぼたん)は高知県佐川町の地酒の銘柄。田中光顕が命名したという。
  • 「牡丹鍋」(ぼたんなべ)は猪肉を味噌味で食べる鍋。
  • 「水牡丹」「寒牡丹」などの菓銘のついた上生菓子も多数存在する。
  • 「白牡丹」(はくぼたん)は広島県東広島市西条の地酒の銘柄。創業1675年(延宝3年)。京の五摂家の一つ鷹司家より酒銘を拝受。

~ソフィア~

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